司馬遼太郎とワタクシ

一番最初に司馬遼太郎の作品を読んだのは、親にもらったボロボロの「国盗り物語」でした。
小学4年か5年の頃だったかなあ。
斉藤道三に始まる美濃国盗りと、その弟子というべき織田信長と明智光秀が最終的に本能寺で激突するという素晴らしい構成で、これこそが司馬文学の最高傑作だと思います。
デビュー当初は当時流行していた(と思う)忍者モノを中心に伝奇小説家といったスタンスでしたが、歴史小説にシフトしてから評価が定まり、作品としては「国盗り物語」-「新史太閤記」-「関ヶ原」-「城塞」と読んでいくと戦国時代~安土桃山時代~江戸時代が、そして「竜馬がゆく」-「花神」-「翔ぶが如く」-「坂の上の雲」と読んでいくと幕末~明治初期の流れが連結します。
あとは「新史太閤記」と「覇王の家」を比較すると秀吉好き・家康嫌いという作者の傾向がわかったり、「花神」と「播磨灘物語」を読むと近代合理主義の信奉者だった司馬遼太郎の歴史観が見えてきます。
一連の作品によっていわゆる司馬史観という見方が良くも悪くも定着しており、現在小林よしのりが似たような手法で自分の史観をあらわしておりますが、これは司馬遼太郎の影響かなと思います。
また、徴兵された軍隊(日本陸軍の戦車兵だった)でいろいろと理不尽な事があったようで、陸軍に対する軽侮の思いが強く、「坂の上の雲」では日本陸軍は児玉源太郎と秋山好古以外首脳全員バカみたいな感じで描かれ、寺内正毅をボロクソに言ったりとめった斬りにしていますが、海軍に関してはバルチック海戦があまりにも鮮やかな勝利だった為にいよいよ海軍=○、陸軍=×という彼の史観が出来上がりました。
ただ、海軍にしても高橋孟の傑作「海軍めしたき物語」を読むと陸軍も海軍もどっちもどっちという気がしますが・・・。
そういえば「海軍めしたき物語」は15年以上前に父親にパクられてから読んでないな。
個人的司馬遼太郎ベスト5。
国盗り物語
花神
竜馬がゆく
坂の上の雲
播磨灘物語
ワタクシ日本史の戦国時代と幕末のところだけ司馬遼太郎のおかげでやたら詳しくなれました(笑)。
最近だと「信長の野望」関連で詳しくなった人もいそうだな。

12:01:00 on 09/23/08 by yoshiki - Book - 6 comments

大藪春彦とワタクシ

はじめて大藪作品を読んだのは親が出張の暇つぶしに買って家に持ち帰った「復讐に明日はない」でした。
知らんヤツにいきなりヨメを殺された主人公が最終的に復讐相手のちんこを切り落としたりなんか大変なことになっており、小学生にはかなりキツイ読み物でした(笑)。
当時角川文庫で大藪フェアをやってていろんなものがドッカンドッカン出てたんで「汚れた英雄」とか「蘇える金狼」とか手当たり次第に読みました。
そこから影響を受けていろいろとハードボイルドを読んでみましたが、やはり帰ってくるのは大藪ノベルズ。
作風は基本的に「復讐」をテーマにした剛球一直線のワンパターンですが、彼にしかできない圧倒的な筆力のせいか他の追随を許さず、また大藪作品といえば特に車と銃に関する緻密な描写が有名ですが、ストーリーの荒唐無稽さをこの偏執狂ともいうべき機械の描写で現実としてつなぎとめており、これはこれで必要だったかと思います。
大藪作品の中で最も有名な伊達邦彦シリーズは「諜報局破壊班員」よりイアン・フレミングの007シリーズに範を取った世界を股にかけるスパイ小説にシフト。
「日銀ダイヤ作戦」におけるマフィアだったり、「マンハッタン核作戦」のようにブラック・ムスリムのような黒人問題を扱ったものなどヴァラエティ豊かで楽しめました。
しかし平成に入って復活した「野獣は甦える」「野獣は、死なず」の二作品は小説そのものに贅肉がついた感が否めず、餓狼のような主人公が活躍する処女作の迫力はなくなりました。
後期大藪作品の代表作「アスファルトの虎」でもその傾向は変わらず、レース、狩猟、銃撃戦という大藪作品の全ての要素をムリヤリ詰め込んだ作品で、どう終わるのかまったくわからないまま最後の方はほとんど惰性で読んでおりました。
ちうか掲載してた「野性時代」が休刊して尻切れトンボで終わったんだ。
個人的ベスト3は以下のとおりでしょうか。
汚れた英雄
野獣死すべし
蘇える金狼
いずれも今読むと時代を感じますが、汚れた英雄なんかは一種の青春小説みたいな捉え方もできるかな。
ワタクシにとって大藪作品とはダメダメになっているときにムリヤリ高揚感を得る時には必須の本でした。
方向はどうあれ(笑)。

12:01:00 on 09/20/08 by yoshiki - Book - comments