雑誌がなくなっていく悲しみを吹き飛ばすかのようなリキの入った雑誌を二冊ご紹介。


ブルース&ソウル・レコーズ「ジャズはブルースだ!」

1. Dog It / JIMMY FORREST with GRANT GREEN
2. Swinging Door Groove (S K Groove) / SAUNDERS KING
3. Time Out For The Blues / BENNY CARTER ORCHESTRA with BEN WEBSTER
4. Here Comes The Blues / ILLINOIS JACQUET feat. WYNONNIE HARRIS
5. 20th Century Blues / SIR CHARLES THOMPSON
6. Mellow Mama Blues / DINAH WASHINGTON
7. St Louis Blues / LITTLE WILLIE JACKSON
8. Dragnet Blues [feat. Frankie Ervin] / JOHNNY MOORE’S THREE BLAZERS
9. Lonesome Train / MARI JONES with JOHNNY MOORE’S THREE BLAZERS
10. How Deep Is The Ocean / CHARLES BROWN with JOHNNY MOORE’S THREE BLAZERS
11. Gee I’m Lonesome / HOWARD McGHEE & HIS SEXTETTE (vocal by PEARL TRAYLOR)
12. Living My Life My Way / HELEN HUMES
13. Blues On My Weary Mind / EARL HINES SEXTET feat. BETTY ROCHE
14. Heart Full Of Pain / LIL GREENWOOD
15. Good Lover Blues / JIMMY WITHERSPOON
16. After Hours / BOBBY SMITH

今回の特集たるブルーズとジャズの関係については、グラント・グリーンあたりを聴いてやっととっかかりがつかめたかんじです。
あとはスタンリー・タレンタイン&スリー・サウンズの「The Blue Hour」がブルージーでした。
ブルーズとゴスペルの表裏一体の関係についてはブラインド・ウィリー・ジョンソンを聴いて認識しておりましたが。

個人的にはブルーズ・サイドからはT・ボーン・ウォーカーなんかもジャズの影響が濃かったと思うんで、そちらの角度からも斬っていただきたかったかなとも思います。

そして付録のCDが素晴らしい。
(1)はグラント・グリーンのギターもブルーズとジャズの中間点のテイストが溢れておりますが、どんどんブルージーになっていき、特にダイナ・ワシントンの(6)なんかすげえカッコイイ。
そしてCDには収められていないものの、表紙を飾ったローランド・カークの佇まいが素晴らしい。
86年だっけかな、ジャック・ブルース、バディ・ガイと共演した番組を映像化した「スーパーショウ」のローランド・カークは凄かった。
スーパーショウのDVD化を望みたいですな。


レココレ増刊・マイルズ・デイヴィス・ディスク・ガイド

没後20年を偲んでか、マイルズ・デイヴィスのムック本が出ました。
公式リリースのディスク・ガイドとマイルズに関わったミュージシャンの紹介だけでほとんどおしまい(笑)。
まともにリリースしたアルバムだけでも膨大だからなあ。
ディスク・ガイドにはキャノンボール・アダレイの「Somethin’ Else」も載ってますが、実質マイルズのリーダー作とは言え、こういう扱われかたもどうなのかね。

残ってるマイルズのアルバム買わないとな。

 

ピーター・バラカンが今は亡き月刊PLAYBOY誌に連載していたコラムをまとめたもの。

媒体としてのラジオの役割、ラジオの今後についてだったりと現役ならではの現場感覚満載。
音楽としてはロック、ソウル、ブルーズ、ジャズ、そして主流のよこっちょを流れる傍流ながらも豊かな音楽を紹介しております。

25年ぐらい前にシティロード誌(これもなくなったな)で連載してたものをまとめた単行本「ミュージック捜査線」の時はネヴィル・ブラザーズに肩入れしてましたが、ここ最近はずっとデレク・トラックス・バンドにご執心らしく、そこらあたりは微笑ましい(笑)。
でもオレどっちもあんまり聴いてないんだよなあ。
ネヴィルズというよりはその前身のミーターズのほうがスキ。
でもちょっと聴いてみっかな。

しかしなんというか、レコード業界の巨大化とともにそこからこぼれおちている素晴らしい音楽のいかに多いことか。
そしてこれだけ情報化されてるのになんで紹介されてない音楽が多いんだろうか。

 

自殺という形で人生の終焉を迎えた中村とうようの原稿集。
おもしろかった記事をいくつか。

一方的な”コピー天国”非難に反論する:
音楽のコピー問題は現在とまったく変わってない・・・、というか、この時期から30年以上ダラダラやってたのかと。
とはいえよく考えたら音源のコピーができるようになったのってここ30~40年程度だもんなあ。
このあたりはもう今後商業音楽が続く限りは永遠の問題になるんだろうな。

クロスレビュー:
ジグジグスパトニックなんか聴かせたのは誰だ(笑)。
ジャパンは10点満点だったのか・・・。

チャック・Dインタビュー:
当時ブラック・ミュージックの最先端を突っ走っていたパブリック・エネミーのチャック・Dに中村とうようがインタビュー。
黒人音楽のスタイルにこだわる中村とうようと現場発の急進的なメッセージを発信しつづけるチャック・Dとの溝は深かった。

そして中村とうようセレクトの音盤がいろいろと載っておりますが、7割は知らんアルバムだった。
77年にセレクトされた「ブラック・ミュージックを知るためのレコード117枚」では、「中央アフリカの歌と踊り」から入る徹底っぷり。

ミュージック・マガジンはまだこれからも続いていくんだろうけど、しかし「とうようズ・トーク」にしてもロッキングオンの「渋松対談」にしてもなんでこう、創刊者はご隠居のグチみたいなのを載せたがるのかね。
まあ自分のメディアなんだし、いいんだけど、もう個人が発信できるメディアを持った今となってはこんなつまらんもんをカネとって載せるのは時代遅れも甚だしいと思う。
売文屋は今後ますますプロとしての仕事の質が求められるんじゃないのかな。

そういった意味で、中村とうようの自死は罪深いと思った。

 


■ LONG INTERVIEWS ロング・インタヴュー(聞き手/構成=湯浅学、萩原健太)
□ 1972~1974
□ シュガー・ベイブ『ソングス』
□ 『ナイアガラ・ムーン』
□ 『ナイアガラ・トライアングル VOL.1』(ゲスト=山下達郎、伊藤銀次)
□ 『ゴー!ゴー!ナイアガラ』
□ 『ナイアガラCMスペシャル』
□ シリア・ポール『夢で逢えたら』
□ 『多羅尾伴内楽團』
□ 『ナイアガラ・カレンダー』
□ 『大滝詠一デビュー』
□ 『レッツ・オンド・アゲン』
□ 『TATSURO from NIAGARA』
□ 『ロング・バケイション』
□ 『EACH TIME』
□ 作品集&カヴァー曲集

■ LET’S STUDY AGAIN レッツ・スタディ・アゲン
□ ロック研究セミナー(ニューミュージック・マガジン1978~79年掲載)
デル・シャノンとジーン・ピットニー
フィル・スペクターのサウンドづくり 1
フィル・スペクターのサウンドづくり 2
モータウン・サウンドの特徴
モータウン・サウンドの及ぼした影響
絶大だったベンチャーズの影響力
ビーチ・ボーイズの初期のサウンド 1
ビーチ・ボーイズの初期のサウンド 2
□ サーフィン/ホット・ロッドって何だ?
(対談=大瀧詠一×山下達郎)
□ サーフィン/ホット・ロッドの珍盤、貴重盤
□ ブライアンのアルバムの向こうに聞こえるビーチ・ボーイズ
□ ザ・フォー・シーズンズ~45回転の時代から響き続ける魅惑のヴォイシング
(対談=大瀧詠一×山下達郎)
□ フィル・スペクター~“50年代”を発展させた新しいポップス制作術
(対談=大瀧詠一×山下達郎)
□ 日本のポップスの歴史と私のキャロル・キング
□ 「イエロー・サブマリン音頭」と明治百年
■ ナイアガラ随想~“稀人”の“妙力”(湯浅学)

レコード・コレクターズ誌に収められた大滝詠一関連の記事と、大滝詠一自身がニュー・ミュージック・マガジンに寄稿したものをまとめた一冊。
内容がとにかくメチャクチャに濃ゆい。
インタビュアーがナイアガラーとしても有名な湯浅学と萩原健太なので初歩的な部分はすっ飛ばしての切り口で迫っていきます。

「ナイアガラ・トライアングル VOL.1」ではちょびっと教授にも言及。
なにしろこのアルバムではキーボードで大活躍してるので取り上げないわけにはいかないでしょう。

特に「A LONG VACATION」の最初のリマスタリング時のテープの選別やリマスタリングの苦労話などがおもしろかったですな。
もうアナログのマスターテープはカビ生えてダメになってるらしいんで、20周年以降のリマスタリングのマスターはデジタルになってるみたいです。
どういう保管してるんだろう。
もうハードディスクに移したりしないんだろうか。
ちうか大滝詠一だったらこれからも音源でけっこういろいろ商売できるからありモンのテープとかなんでんかんでんハードディスクにコピーすりゃいいのに。
でも本人の承諾がなきゃムリか・・・。

そして盟友・山下達郎との対談がまた途方もなく濃ゆい。
同病相憐れむなのかなんなのかようわかりませんが、サンデーソングブックの新春放談なんか聞いてるとお互い甘噛みしつつのやりあいが楽しうございます。

「レッツ・スタディ・アゲン」についてもモータウンはなんとか理解できますが、50年代ポップスについてはまったく疎いので何書いてるのか全然わからん記事もあります(笑)。

21世紀のいまとなってはほとんど通用しなくなってしまったポップスに異常なこだわりを持った男の記録としてこれ読みながらナイアガラ・サウンドの解明に勤しむも良し、ナイアガラ裏話を楽しむもよし、いろいろ楽しめる一冊ではございます。

で、ナイアガラ・トライアングル VOL.2に関する記事がないのは、来年の30周年記念エディションを見据えてのことか・・・。

あと、A LONG VACATION 30th Anniversary Editionの記事は今月のレコード・コレクターズ誌に収録。
レコード・コレクターズ誌もなかなか商売上手だ(笑)。

 


1. I Learned My Lesson / Vernon Garrett
2. As Long As I Don’t See You / Little Johnny Taylor
3. Put It Where You Want It / Pee Wee Crayton
4. Is This For Real / The Montclairs
5. Freddie’s Dead / Young-Holt Unlimited
6. We’re Losing It Baby / Roscoe Robinson
7. Humpin’ / Frank Armstrong & The Stingers
8. First Thing In The Morning / James Moody
9. I Need To Be Loved / Fontella Bass
10. Gimme Some Mo / Redd Holt Unlimited
11. Baby Don’t Do It / Bobby Powell
12. Hold On / Lorenzo Holden
13. I Need Money / Ruth Davis
14. Slow Funk / Isaac “Redd” Holt
15. Recipe For Peace / Bobby Patterson
16. Got To Get Over / Sonny Stitt
こないだのソウルを聴く夕べでブルース&ソウル・レコーズ誌(以下BSR誌)のおまけCDがかかってそれが非常にカッコよかったのでこうてみました。
特集はレア・グルーヴ。
そしてそのレア・グルーヴ特集をコンパイルしたCDのおまけつき。
ここ最近ブルーズから遠ざかっておりますので、手に取ることが少なくなっておりますが、この特集はたまらん!
ディープ・シンガーとして有名なヴァーノン・ギャレットの(1)からCDはスタート。
ファンキーなドラムとブンブン唸るベースに乗せてギターを弾き倒すソウル・インスト(3)、フィル・ペリーのヴォーカルが熱い(4)、そしてカーティス・メイフィールドのカヴァー(5)はやたら不穏なサウンド。
ディープなヴォーカルとファンキーなリズムがたまらない(6)のような歌モノをはさみつつ、メロウ味な(8)、妙にファズが効いたギターとクラヴィネットが暴れるグルーヴィーな(10)、ルイジアナらしからぬ(11)、(5)(10)と同じくヤング=ホルト=アンリミテッドな(14),流れるようなサウンドの(15)、そしてメロウなサックスでCDはおしまい。
ジャズ・ファンク・インストあり、ディープ・ファンキーありと楽しめる内容でした。
もちろん雑誌の中身も充実、レア・グルーヴ・ディスクの紹介の他にモーメンツ〜レイ・グッドマン&ブラウンとかの特集もあってなかなかよかったです。
今月のBSR誌は買いだ!

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